12.医師と定年 ~定年を視野に入れたキャリアプラン~
医師の定年とキャリアを考える
2004年の初期臨床研修必修化に伴い、かつては医学部を卒業したあと医局に入ってキャリアを積むことが一般的だった医師も、自分で進路を選択する時代になりました。
新制度施行後は、従来のように医局上層部の意向に沿って診療科や勤務先が決まるのではなく、医師が自ら、初期の研修先、後期の研修先、その後の勤務先などを決め、自身のキャリアを選択していく必要があります。
進路の自由度が高まる一方、医師としてどのような人生を送るかの決断を迫られているのが、現代の医師たちの特徴と言えるでしょう。
なかでも40代から60代の医師は、定年も見据えたうえで自分の働きかたを決めなければならない年代。医局の中ばかりでなく、医局外でキャリアを積む選択肢も広がっており、労働の形態そのものも常勤・アルバイト・スポット勤務など多様化しています。
何歳で引退する?
医療従事者専用サイト「m3.com」のアンケート調査によると、医師自身が考える引退の年齢は「65歳まで」「70歳まで」がともに回答者全体の27.8%と高い割合になっています。
勤務医と開業医を比較すると、勤務医のほうが70歳までの引退を考える割合が高い傾向が見られます。これは、開業医が自分の裁量で定年を決めるのに対し、勤務医の場合は勤務先で定年が決まっていることが大きいとみられます。
Q.何歳までに引退しますか?(m3.comによるアンケート調査)
実施日:2013年9月4日~9月5日、回答総数500人<勤務医388人、開業医98人、基礎研究者10人、その他4人>
参考:『4割弱が「65歳までに引退」』(m3.com)
定年後のキャリアは?
定年の時期が決まっている医師に定年後のキャリアを尋ねると、もっとも多い回答は「老健(介護老人保健施設)や特養施設などで働く」(20.9%)、次いで「医師の仕事自体をやめる」(20.4%)、「他の病院の勤務医」(20.1%)、「定年はない」(10.9%)などが続きます。「医療と関係ない仕事をする」(5.5%)や「その他」(8.5%)といった回答を抜かすと、じつに6割以上の医師が定年後も医療に携わりたいと考えていることが分かります。多くの医師が、医師という仕事にやりがいを感じ、高い職業意識を持っていると言えるでしょう。
40代から60代の医師のキャリアプラン
定年後の具体的なキャリアプラン
定年後にも医師として仕事を続ける場合のキャリアプランとしては、主に以下のような進路が考えられます。
- 1.現在の職場で定年まで勤め上げる
- 2.専門スキルを活かして第一線で働く
現在の職場で難しい場合は、専門のコンサルタントに相談するという手も - 3.開業
早目の準備が重要
もしくは院長候補としてクリニックへ転職 - 4.非常勤として働く
週3~4日でも十分に稼ぐことが可能
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定年を見据えたキャリア:39~45歳
医学部卒業から15~21年たったこの頃は、医師としてのキャリアに悩む人がもっとも多い時期です。
大学医局内でのポジション獲得に乗り出す医師がいる一方で、開業などで医局を出る決意をする医師も少なくありません。また、医局派遣で大学の関連病院に在籍している医師は、異動が減り、慣れた環境に留まることも可能となってきます。
一般的に、大学の関連病院に長く在籍し臨床に携わってきた医師は、民間病院から高く評価される傾向があり、民間病院への転職は狙い目の一つ。「当直なし」「待遇アップ」などの希望条件も通りやすいでしょう。
ただし、専門による転職のしやすさについては意識しておく必要があります。外科の場合は、転職先病院での年功序列などがネックになることが多く、転職は早いほど有利。30代後半が一つのリミットと考えておきましょう。
一方、内科は外科よりも年齢が問題視されることは少なく、転職の際にも選択肢の幅が広いと言えます。
定年を見据えたキャリア:46~55歳
医学部卒業から22~31年たったこの頃は、臨床医として円熟の域に達する時期です。従来の勤務先で定年まで勤めるかどうかを固める時期である一方、キャリアアップのための転職に踏み切るケースもあります。
高待遇を希望しての転職であれば、在宅クリニックや、外来クリニックの院長職などが求人数も多く狙い目。
ただし、チーム制をとる外科の場合は、年齢が上がるほど既存チームへの編入が難しくなるため、勤務先選びに工夫が必要です。常勤医1名や少人数で回せる診療科で、300床以下の施設などが向いていると言えるでしょう。
内科も、内視鏡やカテーテル治療といった手技が求められる診療よりも、一般内科などのニーズの高い領域を志望する方が、進路選択の幅が広がります。
なお、大学で教授や准教授のポストを得るのも、この時期の選択肢の一つ。大学の中には新講座の開設等で外部から人材を公募するところもあるため、キャリア選択時の一つの進路として意識しておくと良いでしょう。
定年を見据えたキャリア:56歳以上
医学部卒業から32年以上たったこの頃は、定年の有無に関わらず、第二・第三のキャリアを視野に入れる医師が多くなります。定年後も医師を続ける場合の選択肢は大きく2つ。
- 現在の勤務先で引き続き働く
- 定年後を見据えてキャリアを変える
後者の場合、「医局から民間病院への転職」というように、新しい領域に踏み出すのであれば、50代のうちに行動を起こしたほうが良いでしょう。
転職先については、自身がセカンドキャリアに求めるものを基準に選ぶ必要があります。たとえば、第一線は退いても収入は確保したい場合は、透析クリニックや訪問診療などが、収入よりも自分の時間を確保したい場合は、リハビリテーション施設や介護老人保健施設、療養型施設などがおすすめです。
なお、専門別に転職を見ると、外科では年齢的にもオペ技術を生かした転職は難しくなります。たとえば、消化器科のように内科と外科が混在する領域で、内科的な治療中心にシフトしていくことなども検討してみましょう。
医師がキャリアを考えるときに役立てたい医師求人サイト
医師が転職を考えた場合に、もっともネックとなるのが時間作りです。普段の業務が多忙であるため、自ら志望先の情報収集や、面接対策などを練る時間が取りにくく、個人での転職活動には限界があります。
また、外科・内科や診療科ごとの専門性も高いため、一般の転職エージェントでは対応が限られるケースも。
医師が転職を検討する場合は、医師転職を専門に扱うプロに相談してみましょう。医師専門の医師求人サイトでは、専任のキャリアコンサルタントがキャリアに関するカウンセリングを実施し、履歴書・職務経歴書の作成代行や、模擬面接なども実施してくれます。
最近では、40~60代の医師に特化した医師求人サイトもあり、定年後のキャリアも見据えた提案を受けることができます。
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参考サイト |
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